パン生地のこね上げ温度の計算方法
今回は、家庭のパン作りで生地のこね上げ温度を調整する簡単な計算方法を紹介します。
パン生地のこね上げ温度の計算式1
(粉温+水温)÷2=生地のこね上げ温度
粉の温度と水の温度を足して2で割った平均値が生地のこね上がり温度になります。
私の場合、生地の配合や発酵させる温度、時間によって違いはありますが、こね上げ温度は24℃前後を目安にしています。
例えば、粉の温度が22℃、水の温度が26℃であれば、
(22+26)÷2=24
生地の捏ね上がり温度はおおよそ24℃になります。
目標こね上げ温度に近付けるためには、配合量が多く温度変化が一番容易に行える「水」に氷やお湯を加えて水温を調整していきます。
夏場は仕込み水の温度を下げますが、インスタントドライイーストは15℃以下の水にあてると活性が弱まります。
室温の上がる季節は、粉やボウルを冷やして調整したほうが、パンの仕上がりも安定しますよ。
家庭では、粉温と室温は同じ温度になる場合が多いので、空調などで温度を調整しましょう。
普段から冷蔵保存している牛乳やバターを使うときは、室温に戻しておいてから使うのが基本です。
手捏ねの場合、こねる時間が長くなるほど手の体温でこね上げ温度が上がってしまう可能性があります。
ふんわりボリュームを出したい食パンなど捏ねる時間が長くなる生地は、ホームベーカリー、キッチンエイドなどのミキサー、ボウルの中でゴムベラを使って捏ねる作り方のほうが適しています。
パン生地のこね上げ温度の計算式2
業務用ミキサーを使ってミキシングした時の摩擦熱も加味した、捏ね上げ温度の計算式もあるので以下に紹介します。
粉温+室温+水温+摩擦熱上昇=(こね上げ温度)×3
この方程式に当てはめることで、ミキシング時の摩擦熱上昇値や水温を知ることができます。なお、摩擦熱上昇値は機械の種類や手の体温によって異なります。
パン作りに温度計は必須
生地の捏ね上げ温度を上手く調整できれば、コンスタントに質の高いパンを作ることが出来るようになりますよ。
そのためには、温度計が絶対に欠かせません。
参考までに、私が家のパン作りで使っている2つの温度計を紹介しましょう。
タニタ スティック温度計
仕込む生地量が多いときは、表面と中心部の生地に温度差があるので生地に挿せるタイプのスティック温度計を使っています。
エーアンドデイ 放射温度計
コンパクトサイズで便利な非接触タイプの温度計です。少量の生地温度を測定するのに重宝しています。エーアンドデイの業務用計りを使っているパン屋さんも多いので精度面でも安心して使えます。
生地のこね上げ温度は、パンの風味や発酵時間に決定的な影響を与えます。
季節や室温によって水温や粉温を調整し、目標とするこね上げ温度に近づけていきましょう。
こね上げ温度の誤差はトータルで調整
生地のこね上げ温度は、出来るだけ目標温度からプラスマイナス2℃の範囲に収まるようにしましょう。
温度に誤差がでたときは、こね上げ後の一次発酵〜窯入れまでのトータルで帳尻を合わせていきます。
具体的な対処の基本としては、
[こね上げ温度が高い場合]
1次発酵の温度を低くして時間も短めにする
[こね上げ温度が低い場合]
1次発酵の温度を高くして時間も長めにする
ベンチタイムや2次発酵の工程でも、この基本の考え方は同じです。
こね上げ温度の誤差をリカバリーできれば、少しでも良い状態のパンに仕上げることができます。
数値ばかりに頼らず、生地の状態をみながら柔軟に対応していきましょう。