友達のパン

パンづくり、パンレシピ、パンの作り方などを紹介しています

高加水パン「リュスティック」と「パン・ド・ロデヴ」

はるゆたかブレンドのリュスティック

国産小麦粉「春よ恋」でパンを焼きました。

リュスティックをイメージし加水量を増やした生地は、もっちりしっとり食感に仕上がりました。

 

パンの加水量の違い

加水量の違いによってパンの食感は変化します。

パンを形作る材料の中で小麦の次に占める割合が多いのが「水」です。

それだけパンにとって「水」は重要な素材になります。

 

例えば、フランスパンの生地は加水量の違いによってパンの名称も変わります。

代表的なものを以下に紹介します。 

  • バゲット-------------------加水66〜70%
  • リュスティック-----------加水80〜85%
  • パン・ド・ロデヴ---------加水90〜95% 

一般的なバゲットの加水量に10%前後水が増えると「リュスティック」、20%前後水が増えると「パン・ド・ロデヴ」という名前のパンになります。

「リュスティック」と「パン・ド・ロデブ」は、高加水で大きな気泡の空いた瑞々しいクラムが特徴のパンです。

2つの違いは「パン・ド・ロデヴ」のほうが加水量が多く、発酵にルヴァン種を併用している点です。そのため、よりもっちりとした、香りの強いパンになります。

高加水のパンはグルテンがつながりにくいので、先に粉と水だけを混ぜたら20〜30分ほどそのまま自然にまかせて生地をつなぐ(オートリーズといいます)ことで、水和を促進させつつミキシング時間も短縮できます。

また、ミキシングの始めから全量の水を加えず、2段階に分けて加えたり、後から足し水(バシナージュといいます)をしながら加水量を調整していくのが良い生地を仕込むコツです。

 

高加水でも扱いやすい湯種生地

パンの加水量を増やす効果的な方法として湯種を使う製法があります。

湯種で仕込む生地は、大量に水を取りこむことができるので、場合によっては粉よりも水の方が多い加水率110%の生地を仕込むこともできます。

加水110%でも、ただ水を110%加える生地より、まとまりやすく扱いやすいのも湯種生地の特徴です。

湯種の作り方は以下でも紹介しています。

desamis.hatenadiary.com

 

 

小麦粉による吸水性の違い

小麦粉の品種によって水の吸水性は変わります。基本としてはタンパク値が高いほど吸水性も高くなります。

吸水性の高い小麦の代表的な品種は、最強力粉に分類される「スーパーキング」や、高加水でもっちりした食感のパンを作るのに最適な国産小麦「キタノカオリ」が挙げられます。

小麦粉による吸水性の違いを確かめたいときは、副材料の入らないシンプルな配合でパンを作ってみると特性をよく知ることができます。

 


季節による吸水性の違い 

吸水量は小麦粉の品種だけでなく、季節によっても変わってきます。

冬場は生地が乾燥しやすいので水分量も多めに、夏場は生地がべたつくので水分量は少なめにして調整するのが基本です。

水温は、冬場のぬるま湯の場合は28〜30℃前後、夏場の冷水の場合は15〜18℃前後が目安になります。

15℃以下の水で生地を仕込むとイーストの活性が弱まるので、その場合は粉やボウルを冷やして温度調整したほうが、パンの仕上がりも安定します。

 

水質の違い

水は硬度によって「軟水」と「硬水」に大別されます。

フランスのパンが美味しいのは水が硬水だからと言われるほど、水質もパンの品質に大きく影響します。

日本の水道水は軟水になります。日本で硬度の高い水でパンを作りたいときは、ミネラルウォーターの「コントレックス」を使います。

バゲットにフランス産の小麦粉を使用しているお店は、仕込み水にコントレックスを加えていることも多いです。

水の硬度を上げることで、加水を増やしても生地がだれにくくなり、焼き上がりもみずみずしく仕上がります。

  

家庭で作れる高加水パン

高加水のパンを家庭で作る場合、生地がべたつき手捏ねすることは難しいですが、ボウルの中で生地を引っ張りながら折りたたむ作り方をすれば、手捏ねより労力も少ないため、家庭でのパン作りに適しています。

ボウルの材料をざっくり混ぜただけのボソボソした生地が、自然な水和と折りたたみによって、伸びのある滑らかな生地に変化していく過程は生き物を見ているようで楽しいですよ。

ぜひ、瑞々しくもっちりとした食感の高加水パン作りに挑戦してみてください。