パンの焼成温度とスチームオーブンでフランスパンを焼くコツ
コーヒーとココアのくるみパンを焼きました。
このパンは生地に加えるコーヒーをエスプレッソにするとより濃厚な仕上がりになります。
チョコチップを加えるのも相性が良くおすすめです。
それにしても…
元の生地の色が黒いと焼き加減の見極めがつきにくいです。。笑
うっかり焦がしてしまいそうになりました。。汗
パンによる焼成温度の違い
パンの種類、大きさ、配合などによって焼成温度は変わります。
基本的な目安としては以下になります。
- ハード系のパン:240〜260℃
- ソフト系のパン:200〜220℃
ハード系のフランスパンなどは、糖分や油脂を含まないため焼き色もつきにくいので、高温で焼きます。
ソフト系の食パンは、生地のコシが強く糖分や油脂を含むためやや低温で焼きます。
ブリオッシュ、クロワッサンなどリッチな配合の生地は、糖分や油脂を多く含むため色づきがよく焦げやすいのでさらに低温で焼きます。
大型パンは下火、小型パンは上火で焼く
大きいサイズのパンは中まで火が通るのに時間がかかるので、あまり高温で焼くと表面だけが焦げてしまいます。
逆に小さいサイズのパンは底が焦げやすくなります。
上火と下火の温度設定ができる業務用オーブンであれば、大きなパンは下火で、小さなパンは上火で焼くのが基本です。
窯床に直置きして焼くパンは、下火を低い温度で設定します。
薪釜のように放射熱や余熱で焼く
水分の多い生地を焼くときに、庫内を高温で予熱したあと熱源は落として放射熱や余熱だけを使って焼くような方法もあります。
この方法だと熱がじっくり浸透していくので、必要以上に水分が飛ばずに、みずみずしいクラムのパンに焼き上がります。
この焼成法は、人類が薪釜を使ってパンを焼いてきた原始的な方法を、現代的に再現したものといえるかもしれません。
オーブンのクセを知る
オーブンは同じ型番の機種であっても、個体ごとに特徴やクセが異なりパンの焼き上がりが変わります。
焼成温度を調整したり、天板を反転させたり、オーブンの奥と手前にあるパンを入れ替えたりして、均等に焼き色が入るようにに工夫する必要があります。
オーブンを新調し以前と同じ設定で焼いても、同様のクオリティのパンが焼けないことがあります。
個体ごとの特徴とクセを知るには、パンを焼いていく中で学ぶしかありません。
フランスパンにスチームは必須
クープがきれいに割れて、クラストがパリッとしたフランスパンを焼くためにはスチームが欠かせません。
生地が膨らむ前に表面が乾燥しないように、オーブン内を蒸気で満たしておくことで、十分に窯伸びして、皮が薄くパリッと焼き上がります。
水分量や大きさにもよりますが、生地をオーブンに入れて窯伸びが止まるまでの時間は7〜15分くらいです。
家庭用のオーブンの場合、焼き初めから窯伸びが止まるまでの10分前後はスチームを入れながら焼いたほうがよい結果が得られるでしょう。
家庭用オーブンを蒸気で満たす
私はこれまで、庫内に霧吹きでたっぷり水を吹いたり、予熱した天板やストーンに熱湯をかけて蒸気を作る方法などを試してみました。
しかしどの方法も、ないよりはマシかなぁという感じで、満足のいく結果は得られませんでした。
家庭用オーブンで十分な蒸気を出すには、石釜ドームやビストロなどの、スチームオーブンレンジを使うのが最も確実だと思います。
仕上がりのクオリティと、使い勝手の良さもおすすめする理由です。
ほかには、ダッチオーブン、ストウブ、バーミキュラなどのフタ付きの鍋を使えば、パンから出る水分が閉じ込められ、内部が蒸気で満たされるので、業務用オーブンで焼いたようなハード系のパンを焼くこともできます。
パンを焼く時の祈り
このパンの焼成には、この温度と時間という明確な答えはありません。
生地の状態に合わせて、日々試行錯誤の繰り返しです。
窯に入れた後は、人知の及ばないところもあります。
パンが生命を育むための主食であったヨーロッパでは、生地を窯に入れて焼く時に十字を切りその成功を祈る習慣もあります。
長い時間をかけて大切に育てた生地が、良い表情のパンに焼き上がってほしいと祈るような気持ちは、パンを作る人ならよくわかるのではないでしょうか。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。