パンの一次発酵を見極めるポイント
上の画像は、一次発酵中のパン生地です。
この生地の状態は、
「生地が1.5〜2倍ぐらいに膨らむ」
「フィンガーテストで指穴が戻ってこない」
という、一次発酵完了の目安となる条件をクリアした状態です。
この発酵状態の確認方法は、見た目にもわかりやすく実用性に優れています。
ただし、この方法は、しっかり捏ねてボリュームを出すようなソフト系のパン生地に適したもので、全ての生地に適応できるわけではありません。
ソフト系の食パンとハード系のフランスパンでは、生地の一次発酵の状態や見極めるポイントは変わります。
ハード系の一次発酵の見極め
例えば、高加水で微量イーストのハード系の生地を仕込めば、長時間1次発酵させても、目に見えてわかるほどの膨らみは出にくいので、生地を表面から見ただけでは発酵状態の見極めがつきにくいのです。
そんな時は、裏側から生地を見て確認すると発酵状態がわかりやすくなります。
上の画像のように、生地を発酵させている容器をひっくり返して底面から気泡の増減を確認することで、1次発酵の見極めができます。
時間とともに大小の気泡が増えてくる状態が、生地にガスを含ませることができているサインです。
発酵させる生地に厚さ(高さ)を出す
高加水のハード系の生地はだれやすいので、発酵中に気泡(ガス)を十分に含ませておかないと、ボリュームが出ずに横に広がったパンに焼き上がってしまいます。
高加水のパンでもボリュームを出すためには、底面積のせまい容器に生地を入れて密着させた状態で一次発酵させます。
そうすることで、寝かせた生地に厚さ(高さ)が出ます。
寝かせた生地に厚さ(高さ)があれば、ガスを溜めこみやすくなり、パンにボリュームが出やすくなります。
低温長時間発酵で知られるシニフィアン・シニフィエの志賀勝栄シェフは、パンの種類や生地の量によって発酵させる容器や厚さ(高さ)を調整することで、イメージするパンのボリュームを再現されています。
表からも裏からも発酵状態を見る
生地の表面の膨らみだけでなく、裏面の気泡からも発酵状態を感じ取ることを習慣にしていると、生地の種類や配合が変わっても、一次発酵を見極めることが容易にできるようになります。
さらに、一次発酵後の工程をどう進めていくのか柔軟に対応できるようになり、最終的に、どれくらいのボリュームのパンに焼き上がるかの予測もつくようになってきます。
経験に直感が合わさることで、コンスタントにクオリティの高いパンが作れるようになります。